椎名林檎:三文ゴシップ

※2009/6/27追記 コメントで指摘があるように、本日記はアルバムの印象から個人的な想像で書いている部分が多く、事実に基づいてないところがあります。ご了承ください。

久々の椎名林檎名義のアルバムです。「平成風俗」もソロだったけどちょっと毛色が違うので、「加爾基 精液 栗ノ花」から見ればかなり久々のリリースです。
加爾基 精液 栗ノ花」に「真夜中は純潔」が入らなかったように、今回先行リリースの「ありあまる富」が入ってない形です。正直いえば今までの椎名林檎のアルバムからすると統一感のあまりないバラエティに富んだ曲が多く、これが東京事変からの流れをくんでいるように思います。タイトルは相変わらずシンメトリーという拘りを感じますが、「ありあまる富」を外す割に最後にボーナストラック的に「丸の内サディスティック (EXPO Ver.)」を入れるのはどうなのでしょうか?曲一つ一つは本当に素晴らしいし、タイトルシンメトリーを続けているところはその統一された方向性に感心します。ただ、若干雑な部分が出ているのではないかと思わせるところがあるので、ちょっとはまり過ぎたファンからすれば突っ込みどころ満載なところがあるのではないかとちょっと心配します。
僕的にはそういうこだわりの部分も大好きですが、ライブでエンターテイナーとして完璧・完全な楽しませ方をする椎名林檎の雑な部分・妥協部分が見れて、正直自分と同じ、近いところにいるという親近感を感じることが出来ました。そういうところひっくるめて、このアルバムは大変出来の良いアルバムかと思います。
というか、音楽業界にアーティストという形で10年以上居る身で「労働者」という曲とその歌詞をかけるのは正直意外なところかもしれませんが、実は椎名林檎も社会でいえばサラリーマンと同じ悩みがあり、義理と妥協に揉まれて来たのではないかと思います(エンターテイナーとしてのサービスで丸の内サディスティックを入れたのか?会社からの要望で入れたのか?にもよりますが)。私の予想が正しいとは限りませんが、もしサラリーマン的悩みが椎名林檎にあったとすれば、そういう制約の中から絞り出した表現というのがある意味、よりその制限を持っているリスナーに近い匂いを持って、それらを楽しませるための役割としてのエンターテイナーで居続けようとするところに大きな魅力があるのではないかと思います。

あくまでも私の見解だけであり、正しくないところは多いかもしれませんが、とにかくどうこう言ったって、最高に良いアルバムであることには違いがないですね。

三文ゴシップ
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